2.ひとりっ子でも社会性は心配ない!

子どものためには、ひとりっ子がいいのだろうか?
兄弟姉妹がいた方がいいのだろうか?
そんな風に悩んだことはないでしょうか。
今回は、それに対するヒントとなるレビューをご紹介します。
ひとりっ子と兄弟姉妹のいる子どもの人格特性に関して調査した、141の研究(メタアナリシスを含む)についてまとめたレビューです。
調査したのは、以下の性質です。
・達成動機
・リーダーシップ
・市民権
・成熟
・寛大さ、協調生
・柔軟性
・自律性
・自己解決型
・自制心
・自尊心
・不安、神経症
・情緒安定
・充足感
・外向性
・社会参加
・仲間の評判
・親子関係
結論ですが、ひとりっ子は「達成動機」と「適応力(自尊心、不安・神経症、情緒安定、充足感)」は、兄弟姉妹のいる子どもに比べて有意に高いスコアを示しました。
理由としては、
(1)達成動機:ひとりっ子や兄弟姉妹の少ない子どもは、動機を現実の成果に結びつけるためのリソースをより多く持っているからではないか
(2)適応力:ひとりっ子や兄弟姉妹の少ない子どもは、兄弟姉妹の多い子どもや遅く生まれた子どもと比べると、親の関心を引いたり、親との交流を多くもつことができ、親と過ごす時間や質が高いというエビデンスもあり。親が子どもの成果を目撃し、ほめてくれる機会も多いからではないか
(3)その他の人格特性:ひとりっ子では「親子の関係性」が「兄弟との関係性」の代わりとなり、兄弟姉妹の多い子どもでは「兄弟姉妹との関係性」が「親子の関係性」の代わりになって、発達に影響を与えているため、同等だったのではないか
と推測されています。
ひとりっ子だから、とか、兄弟姉妹が多いから、とか、そのような理由で、子どもの人格形成に不安を覚える必要性はなさそうですね。
参考文献
米国最強経済学者にして2児の母が読み解く子どもの育て方ベスト, 2021 (エビデンスレベル★☆☆☆☆)
Denise F. Polit, Toni Falbo, Only Children and Personality Development: A Quantitative Review, 1987 (エビデンスレベル★★☆☆☆)