エビデンス

20. 子育てで落ち込んだときは、歩けば気分回復!(メタアナリシスのシステマティックレビュー)

adash333

子育てをしていると親がいらいらして、つい怒りすぎてしまって、その後、気分が落ち込むこともあることもあると思います。そんなときは、とりあえず、

「外に出て歩きましょう!」

気分が落ちこむ確率が下がります(うつになる可能性が下がります)。
お子さんを抱っこしてでも、ベビーカーでもOKです。できれば、公園などに行って、安全なところで歩いたり、走ったりできるとなおよいです。

「運動はうつの症状を軽減させるか」という研究は、2020年までに、100以上のRCT(ランダム化比較試験)が行われました。

RCT(ランダム化比較試験)を統計的にまとめた論文を「メタアナリシス」と呼びますが、エビデンスレベルが非常に高いです。
2018年までの「運動はうつの症状を軽減させるか」という問いに関するメタアナリシスを吟味してまとめた論文[1]が2020年に発表され、

「運動はうつ症状を軽減させる」

という結論でした。

Hu(ヒュー)氏らは、2018年までに発表された「一般集団におけるうつ病または抑うつ症状の発症に対する運動介入の効果」を調べたRCT(ランダム化比較試験)のメタアナリシスを調べたところ、8件のメタアナリシス(の論文)を見つけました。

8件のメタアナリシスには、RCT(ランダム化比較試験)は134個含まれており、そのほとんどは重複はありませんでした。
6 つのメタアナリシスでは有意な効果(「運動がうつ症状発症予防に有効である」という結論)が見られ、2 つのメタアナリシスでは、子供、青年、成人、および高齢者の抑うつ症状の軽減における運動介入の有意でないとの結論でした。

証拠が乏しいため、性別の役割とうつ病に対する運動の特徴について結論を出すことはできませんでした。しかし、いくつかの調査結果は、低強度の運動が高強度の運動と同じくらい効果的であることを示唆していました。

その8件のメタアナリシスを分析した結果、Hu(ヒュー)氏らは、

「運動介入が幅広い年齢層の一般集団の抑うつ症状に有益な効果をもたらす」

との結論となりました。

超難しいことを書きましたが、何千人もの、何百個もの論文から、

「気分が落ち込みそうになったら、歩いてみよう!気分が改善します。(科学的に証明済み)」

ということになります。とりあえず、歩きましょう!もちろん、スポーツもOKです!

1. Hu MX, Turner D, Generaal E, Bos D, Ikram MK, Ikram MA, Cuijpers P, Penninx BWJH. Exercise interventions for the prevention of depression: a systematic review of meta-analyses. BMC Public Health. 2020 Aug 18;20(1):1255. doi: 10.1186/s12889-020-09323-y. PMID: 32811468; PMCID: PMC7436997.

参考文献

  1. Mandy X Hu, Exercise interventions for the prevention of depression: a systematic review of meta-analyses, 2020 (エビデンスレベル★★★★☆)
  2. アンデシュ・ハンセン, 運動脳, 2022 (エビデンスレベル★☆☆☆☆)
ABOUT ME
えびちゃん
えびちゃん
6歳と3歳の二児の母。 夫婦ともに東大理三出身、東大医学博士。 「エビデンスに基づく教育」で、親も子どももハッピーになれる子育てを応援します。
記事URLをコピーしました