エビデンス

19. 大人が人形や誰かを攻撃したりケンカしたりしているのを見ると、子どもも真似をして攻撃的になる(ボボ人形試験, Bobo doll experiment)

adash333

1960年代に心理学者アルバート・バンデューラ氏(Albert Bandura)が提唱した「社会的学習理論」という考え方があります。

これは、「子どもも大人も、周囲の人を観察することで自分の言動のヒントを得ており、しかも、地位の高い人の真似をする場合が多い。」というものです。

スタンフォード大学保育園(アメリカ、カリフォルニア州)の3歳から6歳までの72人の子どもを以下の3つのグループに分けました。

1. ある部屋に入り、大人が人形に対して叩く(たたく)などの乱暴をしたり、罵ったり(ののしったり)する様子を見せるグループ(group A)
2. 大人がおだやかにおもちゃで遊ぶ様子を見せるグループ(group B)
3. 何も見せないグループ(control群)

その後、子どもたちを別々の部屋に連れていき、ストレスかかる状況を作り出します。

具体的には、

1. 子どもが喜ぶおもちゃで数分間遊ばせておく
2. その後、おもちゃを取り合げて、「元の部屋に戻って、(ボボ人形を含む)別のおもちゃで、20分間遊んでいいよ。」と言い、
3. お部屋の中でどのように遊ぶかを観察し、人形をたたいたり、罵ったりする攻撃の度合いをスコア化しました。
4. 「大人が人形に乱暴をするのを見ていた子供達(group A)」は、「大人が人形にやさしくするのを見ていた子供達(group B)」、「何も見せない群(control)」、と比べて、人形に乱暴する傾向が高く(攻撃スコアが高い)、汚い言葉で何度も罵ったりする子供が多いという結果でした。

これは、
●「大人がボボ人形を攻撃しているところを子供が目撃する」→「子供も大人の真似をしてボボ人形を攻撃する」
●「大人がボボ人形にやさしくしているところを子供が目撃する」→「子供も大人の真似をしてボボ人形を攻撃しない」

ということだと解釈できます。

子どもに攻撃的になってほしくなかったら、大人が動物や他の人を攻撃しているシーン、残虐なシーンは、子どもにあまり多くは見せない方がよさそうです。

参考文献

Albert Bandura, Transmission of Aggression Through Imitation of Aggressive Models, 2022 (エビデンスレベル★★☆☆☆)

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えびちゃん
えびちゃん
6歳と3歳の二児の母。 夫婦ともに東大理三出身、東大医学博士。 「エビデンスに基づく教育」で、親も子どももハッピーになれる子育てを応援します。
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