エビデンス

9.問題児と距離を置くために引越すのは慎重に

adash333

アメリカの5都市で、ランダムに選ばれた貧困世帯に対して、高級住宅地の家賃が無料になる特典を与えて引越しを促すという実験が行われました。
 
(1)家賃補助券に当選して、高級住宅地へ引っ越した家族(高級住宅地群)
(2)家賃補助券に当選しなかった家族(コントロール群、場所に制限なし群)
 
の2グループの子どもを比較したところ、
 
・高級住宅地群の女の子は、貧困住宅地群の子どもと比較して、窃盗や暴力で逮捕される確率が有意に低かった
・高級住宅地群の男の子は、最初の2年間は窃盗や暴力で逮捕される確率が下がったが、その後はむしろ確率が上がった

ことが判明しました。
男の子か女の子かで、結果に差が出た理由は様々に推測されていますが、はっきりしていません。
 
  
1人の問題児によって、他の児童が新たな問題行動を起こす確率が17%上昇するという報告もあります(Scott E. Carrell, 2010)。
 
 
子どもがいじめられたり、学級崩壊している場合は、問題児と距離を置くことは大事かもしれませんが、単純に家を引っ越して環境を変えればいいという話ではないのかもしれません。

参考文献

Neighborhood Effects on Crime for Female and Male Youth: Evidence from a Randomized Housing Mobility Experiment, 2005 (エビデンスレベル★★★☆☆)

Scott E. Carrell, Externalities in the Classroom: How Children Exposed to Domestic Violence Affect Everyone’s Kids, 2010 (エビデンスレベル★★☆☆☆)

ABOUT ME
えびちゃん
えびちゃん
6歳と3歳の二児の母。 夫婦ともに東大理三出身、東大医学博士。 「エビデンスに基づく教育」で、親も子どももハッピーになれる子育てを応援します。
記事URLをコピーしました