エビデンス

6.「お小遣いあげるから頑張って」というのは逆効果!?

adash333

やる気の出ない子どもに、なんとか頑張ってほしいときってありますよね。
そんなときは、あの手この手で子どものやる気スイッチを押そうとするものです。
いろんなアイデアがあると思いますが、その中のひとつに、「お小遣いをあげるから」なんていう「ごほうび作戦」もよく聞きます。
 
 
アメリカの恵まれない高校生を以下の2つのグループに分けました。
 
(1)様々なサポートを提供するケースマネージャーがついた上で、インプット(教育や発達のための活動、社会奉仕)に対する奨励金、および、アウトプット(卒業証書や高等学校卒業程度認定試験の取得をした上で、卒業後に大学や職業訓練校に入学した場合)に対する奨励金が与えられるQOPというプログラムに参加したグループ
 
(2)QOPに参加しなかったグループ
 
子どもたちを、10代後半から20代後半まで3回に渡って調査しました。
調査結果ですが、(1)のQOPに参加した子どもたちは、(2)のプログラムに参加していない子どもたちと比べると、危険な行動(薬物乱用、10代での妊娠、犯罪)を多くとりました。

中でも、多くの奨励金をもらった子どもたちの方が、奨励金が少ない子どもたちよりも危険な行動が多く認められました。
 
 
ただし、この報告はあくまでもQOPというプログラムの効果について語っているので、お金を与えると悪いことをすると短絡的に捉えることはできません。
QOPというプログラムを通して、親子の絆や重要な社会的絆が希薄になった可能性も指摘されており、その影響が結果に反映されているかもしれないからです。
 
結論ですが、こちらの報告からは、お小遣いが成績アップに効果的であるとは言えないということになります。

参考文献

Núria Rodríquez-Planas, Mentoring, Educational Services, and Economic Incentives: Longer-Term Evidence on Risky Behaviors from a Randomized Trial, 2010 (エビデンスレベル★★★☆☆)

ABOUT ME
えびちゃん
えびちゃん
6歳と3歳の二児の母。 夫婦ともに東大理三出身、東大医学博士。 「エビデンスに基づく教育」で、親も子どももハッピーになれる子育てを応援します。
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